愛甲の架空鉄道あれこれ

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2009年 08月 16日

未来からやってきた電車

209系電車。
従来、新製より20年以上使用するのが当たり前であった電車のライフサイクルを、減価償却というソフト面、あるいは機器の老朽化や技術革新というハード面を鑑み、あえて使用想定期間を13年前後に短縮。
そうすることで、車両に関わるコストや労力の最適化を図るべく、1992年に登場した電車です。

しかし、そのコンセプトに理解のない鉄道ファンからは「13年しか使えない電車」とか「使い捨て電車」などと謗られ、果ては「走るンです」などというありがたくないあだ名まで付けられる始末。
確かに、薄い構体がもたらす側板のゆがみや、妙にプラスチッキーな内装は、ファンに「安物」というイメージを与える原因でもありました。

その是非はさておき、この209系から始まったJR東の電車の世代交代は、瞬く間に国鉄世代の旧型車を駆逐し、JR後にも増備の続いた205系や211系をも地方へ転属させるほどの勢いで進められ、
いまやJR東管内の電化区間でその姿を見ないことはないまでに、新世代電車は勢力を拡大しました。

平成生まれの若い鉄道ファンにとっては、209系と、その系譜に連なるE501系、E701系、E217系、E127系、E231系などが幅を利かす現在の情景が当たり前なのでしょうが、
我々昭和生まれのファンにとっては、209系はまさしく「未来からやってきた電車」でした。

私は今でも覚えています。
1993年春、上野駅で当時まだ901系と呼ばれていた試作車に初めて接したときの衝撃を。

当時はまだVVVFインバータ車は珍しく、私が日ごろ使っていた小田急でも、1000形の増備が続いていました。
1000形のあの三菱製インバータの耳障りな音が当たり前だった私は、209系の比較的静かな起動音に度肝を抜かれました。

車内の、グレーの成形品を多用した内装と、電車のそれとはとても思えないような硬い座席。
線路方向ではなく枕木方向に並んだ蛍光灯に、完全固定の側窓。
さらには、空気の音もなく、静かに開閉するドア。聞けば、電気で開閉しているとのこと。
また、Hゴムや押さえ金でなく、ステンレスむき出しのドアにコーキング材だけで固定され、窓とドアがツライチなのが、やけに近未来的に見えたものでした。
(余談ながら、これより約10年後に就職した会社で、この窓固定方式はデンマークだかスウェーデンの企業がパテントを持っていて、パテント料がハンパないのと、コーキング自体がヘラを使った完全な手作業で行われているのを知り、驚いたものです)

こうして見るもの聞くものすべてが、当時私が知っていたどの電車にも見られなかった数々の新機軸であり、それをして私に901系改め209系を「未来からやってきた電車」と思わせたのでした。

901系で取り入れられた新機軸のいくつかは、量産に当たって従来どおりの仕様に改められ、また、客用窓等、後天的な改造で退化してしまった部分もありますが、
それでもこの「未来からやってきた電車」が、いたるところで見られるようになったこと、さらには、当初の目論見どおり13年超の使用期間を終え、209系が徐々に廃車になっているとの報に接し、私は改めて年月の経過を思い知らされるのでした。
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by aikoh_denki | 2009-08-16 18:32 | 実在の鉄道


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