愛甲の架空鉄道あれこれ

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2005年 09月 24日

混結編成の魅力-愛甲編

地方私鉄では、しばしば「デコボコ編成」と呼ばれる、異形式車の混結運用が行われます。
というのも、地方私鉄では手持ちのクルマの数が限られており、朝ラッシュ時などの輸送力が必要とされる時間帯には、ブレーキさえ揃っていれば車種など関係なく連結して出動させるため、しっちゃかめっちゃかな編成が出来上がるという具合です。生まれも育ちも顔も身なりもまったく違うクルマが手をつないで走る光景は、見た目は乱雑ですが趣味的には愉快なものであり、また地方私鉄独特の光景でしょう。



さて今回、愛甲でもその「デコボコ編成」を再現したくて、絵を描いてみました。
「愛甲でもこんなことをしてるんだ」、あるいは「こんなことできるんだ」と思っていただければ幸いです。

(1)600形+2000形(廃車済)
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この編成は1985年頃、朝ラッシュ時に中津線で走っていた編成です。今は冷房化されている600形も、この頃はまだ非冷房でした。

600形は自社発注の日車標準車、対する2000形は相鉄から流れてきた17m級旧型国電です。「生まれも育ちも違う…」とはこういう編成のことを指すのでしょう。600形は1963年生まれ、2000形は1930年代の生まれであり、一見、親子ほどの年の差がありそうな両者ですが、600形の足回りは17m級旧国のお下がりなので、こんな妙ちくりんな混結もできちゃうのでした。なお、2000形はこの後しばらくして予備車に回り、1993年に廃車となっています。

(2)600形+2200形
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お次は600形と2200形の混結編成です。
これは輸送力の適正化を図るため、朝ラッシュ時に運行される2+2の4連を2+1の3連にしようという試みの元で行われた試運転の様子です。

普段の運用ではこの両者が手を結ぶことはありませんが、試運転ということでこの組み合わせが実現しました。電連を持たない600形に、わざわざ電連を装備しての試験でしたが、加減速の歩調がどうしても合わないことと、単行運用が可能な600形は中津線の春日台ないしは愛甲田代以北の区間運用に使ったほうが効率的なため、この編成で営業運転に供されることはありませんでした。

この試運転では、軸ばね・枕ばねの双方にコイルばねを使ったFS203台車を履く2200形より、つりかけ駆動ながらNA305エアサス台車を履く600形のほうが乗り心地がよかったというエピソードが残っています。しかしながら乗り心地はともかく走行性能面での相性は最悪で、加速時のドンつきやせっつきは当たり前、減速時もHSCとHSC-Dの違いから歩調が合わず、また、旧型車同士の異形式間での電空協調などできるはずもなく、2200は電制の効果もあって高速域から安定してブレーキがかけられるものの、それに合わせられない600形は滑走ばかり起こして、それはもうひどいブレーキングだったそうです。

結局、片や旧国譲りの足回りを持つツリカケ駆動のロートル、片や直角カルダン駆動の俊敏華麗な高性能車ということで、加減速の歩調が合わないのは当然だというのが現場の結論だったそうで、そんなこと試験するまでもなくわかりそうなものなのですが、これには裏話があります。

その裏話とは、あくまでも噂なのですが、愛甲社内に猛烈な鉄道ファンがいて、氏が「日車の先輩と後輩をつなげて走らせたい」という至極私的な考えの下でこの試運転を企画したとか何とか…確かに600も2200も日車の傑作の誉れ高いクルマですので、ファン心理としてはその考えもわからなくもないのですが…直角カルダンの軽やかなサウンドに、つりかけ音も苦しげに2200に「ひっぱられていく」600の姿が目に浮かぶ、そんな一コマです。

(3)1000形+3500形
最後に異色の組み合わせで締めくくります。
栄光のスプリンター・1000形と、愛甲のホープ・3500形の混結編成です。
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HSC-Dの1000形とMBS-Dの3500形、一見すると繋いではいけない「禁断の組み合わせ」のように見えますが、3500形にブレーキ読替装置が搭載されているため、心配は無用です。愛甲では3000形から電気指令式ブレーキを採用していますが、3000形には読替装置を搭載しなかったため運用が限定されるという失敗を犯しました。3500形はその反省を踏まえ、また、親会社の小田急3000形に習う形で、ブレーキ読替装置を搭載しました。

このようにブレーキ読替装置を持つ3500形は、その標準車然とした近代的な姿に似合わず、併結相手を選びません。その気になればツリカケ駆動の600だろうが、小田急の旧型車たちだろうが、兄貴格の3000形であろうが、車種に関係なく自由に連結することができます。そのオールマイティぶりを遺憾なく発揮しているのが、上の1000形との併結シーンでしょう。

しかしながら、3500形はその登場により、連結相手である先輩たちを物故に追いやるという皮肉な結果を招いています。このままの勢いで3500形が増殖すれば、やがてはブレーキ読替装置が不要になるという可能性も無きにしも非ず…地方私鉄ファンにとっては、寒い時代になったものです。
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by aikoh_denki | 2005-09-24 03:17 | 愛甲電気軌道


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